アノテーション代行の費用相場は、画像・動画・音声・テキストなどのデータ種別によって異なります。さらに、同じデータ種別のなかでも、データ量や難易度、求める精度によって費用が変動する点に注意が必要です。
本記事では、アノテーション代行の各種別の費用相場をはじめ、金額に差が生じる要因や費用を抑えるポイント、委託先の選び方などを解説します。代行会社への問い合わせや見積もり比較の際にお役立てください。
アノテーション作業費とは、教師データを作成する実作業にかかる費用で、代行費用全体の中でも大きな割合を占める項目です。
アノテーションの単価は、データの種類によって設定単位が異なります。たとえば画像は1枚あたり、音声は1分あたり、テキストは1文あたりなどで示されるのが一般的です。
また、単純な分類か、矩形(バウンディングボックス)・ポリゴン・セグメンテーションなどの複雑な作業かによって、単価は大きく変わります。
品質保証(Quality Assurance)費とは、作成した教師データに誤りやばらつきがないか、品質を確認するための費用です。
品質保証費は、アノテーション作業費に含まれる場合もあり、シングルチェックやダブルチェック、複数人による確認などチェック体制によって金額が異なります。特に、医療・自動運転・製造検品など専門知識や高い精度が求められる領域では、より厳格なチェック体制が必要となるため、QA費も高くなりやすいでしょう。
AIモデルの精度は教師データの品質に左右されます。安さだけを優先して品質管理の工程を減らしてしまうと、手戻りや再作業につながるため注意が必要です。
プロジェクト管理費とは、作業者のアサインや進捗管理、マニュアル作成など、プロジェクトを円滑に進めるマネジメントにかかる費用です。
プロジェクト管理費は、契約金額の10〜20%程度が一般的な目安とされていますが、依頼内容や契約形態によって金額は変動します。膨大なデータを扱ったり、複数人で処理したりする案件では、品質を均一に保つための管理工数が必要です。
また、仕様変更が発生しやすい案件やアノテーションのルール設計から依頼する案件では、プロジェクト管理の業務範囲が広がるため、費用が高くなりやすい傾向があります。
なお、金額はあくまで目安であり、作業内容や件数、品質基準、納期などによって変動します。
画像アノテーションの費用相場は幅があり、1件あたり数円〜数百円です。画像分類は比較的安価ですが、ポリゴンやセグメンテーションなど、作業が複雑になるほど費用は高くなる傾向があります。
その他、対象物の数や画像の解像度、ラベル数、専門知識が必要かどうかによっても費用は変わります。画像アノテーションの代表的な手法と費用相場は以下のとおりです。
| 手法 | 単価(相場) | 概要 |
|---|---|---|
| 画像分類 | 3〜10円/枚 | 画像全体の種類を分類する |
| バウンディングボックス(矩形) | 5円~15円/対象物1点 | 対象物をボックス(矩形)で囲んでマークする |
| ポリゴン(多角形) | 20〜50円/対象物1点 | 対象物をポリゴン(多角形)で細かく囲んでマークする |
| セグメンテーション | 100〜300円/枚 | 対象物をピクセル単位でマークする |
| ランドマーク(キーポイント) | 5〜10円/対象物1点 | 対象物(顔や人体の各部位など)の特徴的な点をマークする |
動画アノテーションは、フレームごとの確認や対象物の追跡が必要になるため、静止画よりも費用が高くなりやすい傾向があります。具体的な金額は、動画の長さや対象物の数、動きの複雑さによって変動します。
以下は、動画アノテーションの手法別の費用相場です。
| 手法 | 単価(相場) | 概要 |
|---|---|---|
| 動画分類 | 20円~/件 | 動画全体の種類を分類する |
| バウンディングボックス(矩形) | 10円~/対象物1点 | 対象物をボックス(矩形)で囲んでマークする |
音声アノテーションでは、1分あたりの単価をもとにした見積もりが多く見られます。また、音質が低い場合や話者が複数いる場合、専門用語が多い場合などは単価が上がりやすくなります。
主な手法ごとの費用相場は以下のとおりです。
| 手法 | 単価(相場) | 概要 |
|---|---|---|
| ケバ取り | 100円〜/分 | 「あのー」「えー」などのフィラー(不要な音声)を除いて音声を文字起こしする |
| 文字起こし | 250円〜/分 | 音声をそのままテキスト化する |
| 整文 | 300円〜/分 | 音声を読みやすい文章に整えてテキスト化する |
テキストアノテーションの費用は、文章の長さや内容の専門性によって変動します。作業内容には、文章全体の分類や文章内の単語へのラベル付与などがあります。
以下は、テキストアノテーションの費用相場です。
| 手法 | 単価(相場) | 概要 |
|---|---|---|
| テキスト分類 | 10円~/文(150文字程度) | 文章ごとにカテゴリや属性をラベル付けして分類する |
アノテーション代行費用の総額は、データ量や処理量が増えるほど高くなるのが一般的です。画像・音声の件数や文章量、1データあたりのアノテーション数なども費用に影響します。
一方、大量発注ではボリュームディスカウントが適用され、1件あたりの単価が下がるケースもあります。
ただし、費用を抑えたい場合でも、初回から大量に依頼するのは避けたほうがよいでしょう。まずは一部のデータで小規模なテスト発注を行い、納品物の精度や作業ルールへの理解度を確認することが重要です。
品質を確認してから発注量を増やすことで、大量発注後の手戻りを防ぎつつ、1件あたりの単価も抑えやすくなります。
アノテーション代行は、対象データの難易度が高いほど作業時間が増え、費用が上がりやすい傾向にあります。
たとえば、境界が判別しにくい画像や対象物が小さい画像、ノイズや話者の多い音声などが、難易度の高いデータとして挙げられます。また、医療・製造・建設・自動運転など、判断に専門知識を要する分野も費用が高くなりやすいでしょう。
難易度が高いと想定されるデータは、発注前にサンプルデータを代行会社に共有しておくと、対応の可否や見積もりの前提をすり合わせやすくなります。
一般的に、求める精度が高いほど、アノテーション代行費用は上がりやすくなります。精度を重視する場合は、綿密な作業ルールの設計やQA体制の強化などが必要になるためです。
具体的には、ダブルチェック、抜き取り検査・全件検査、作業者間のラベル一致率の確認、専門家によるレビューなどの品質管理方法が挙げられます。これらの手法にはコストがかかりますが、価格の安さだけを優先してサービスを選ぶと、納品後の修正や手戻りが増え、結果的にコストが高くなる可能性があります。
AI開発の目的に応じて、求める品質水準を事前に決めておくことが大切です。
ここでは、費用を抑える3つのポイントを解説します。
アノテーション代行費用を抑えるには、AI開発に必要な項目を絞ることがポイントです。項目数が増えるほど作業量も多くなり、費用も高くなります。
あわせて、それぞれの項目について判断基準を明確にしておくことも重要です。基準が曖昧なラベルは作業者ごとのばらつきを招き、品質保証(QA)費や修正費が増える可能性があるためです。
依頼前に、各ラベルの定義や対象・対象外の基準、判定に迷うケースへの対応方針などを、定義書や作業ルールとしてまとめておきましょう。不要な作業や修正を防げるほか、見積もりの精度も高められます。
アノテーション代行費用は小ロットで何度も発注するより、ある程度まとまった件数で依頼するほうが、1件あたりの単価を抑えやすくなります。
ただし、初回から大量に発注すると、認識のずれがあった場合に修正範囲が広がるおそれがあります。まずは少量のテスト発注で納品物の品質や対応力を確認してから、本発注へ進むことが望ましいでしょう。
継続的に作業が発生する場合は、同じ業者にまとめて依頼するのが有効です。業者の作業への理解が深まることで説明や確認の手間が減り、管理コストや修正コストも抑えやすくなります。
アノテーション代行費用は、自社の体制や専門性に応じて、内製する業務と外注する業務を切り分けることでも抑えやすくなります。
社内に専門知識がある場合は、ルール設計や最終チェックなど判断を要する工程を内製し、実作業や一次チェックを外注する方法があります。
反対に、自社でアノテーションのノウハウや作業リソースが不足している場合は、管理まで含めて外注したほうが結果的にコストを削減できるケースもあるでしょう。
アノテーション代行会社を比較するうえで、品質管理体制の確認は特に重要です。アノテーションの精度・品質はAIモデルの精度を大きく左右するため、単価の安さだけで判断するのは避けましょう。
主な確認ポイントは次のとおりです。
また、本格的な依頼の前にサンプル作業やトライアルを依頼し、納品データの精度を確かめるのもおすすめです。求める品質基準を満たせる業者かを確認したうえで、依頼先を選びましょう。
個人情報や機密情報が含まれるアノテーションでは、委託先のセキュリティ体制を確認することが必須です。
具体的には、以下の項目を確認しましょう。
特に、医療・金融・行政などの機密性の高い情報を扱う場合は、セキュリティ基準を満たす委託先をより慎重に選定することが大切です。
アノテーション代行会社は、自社と近い業界やデータ種別での実績を基準に選ぶことも重要です。画像アノテーションやテキスト分類など、会社によって得意領域が異なる場合があります。
確認したいポイントは次のとおりです。
過去の事例や対応件数、プロジェクトの規模、対応したアノテーション手法を確認すると安心です。実績のある会社ほど、ルール設計や品質管理のノウハウが蓄積されている傾向があり、修正や手戻りを減らしやすくなります。
ラベル定義や作業ルールの変更に対応できる柔軟さも、アノテーションの委託先を見極める重要な判断材料です。アノテーション案件では、作業途中に仕様の見直しが発生することもあります。
具体的には、以下のポイントを確認しましょう。
AI開発では試行錯誤が発生しやすいため、単発の作業だけでなく、変更や改善にも対応・伴走できる体制であるかも確認しておくことが肝心です。
HELP YOU アノテーションは、AI開発(機械学習)に不可欠な「教師データ」の作成において、画像・動画・テキストなどのデータに対するタグ付けやラベリング(注釈付け)を実施するサービスです。
高いセキュリティ環境を備えているため、外部への持ち出しが難しいAI学習データや、指定端末・指定環境での作業が必要な案件もご相談いただけます。
| 特徴 | ・幅広いアノテーション業務の実績(自動運転・医療 ・製造業・建設など) ・業務内容に合わせて専任チームを編成し、品質を管理 ・貴社ツール・仕様書に合わせて対応可能 ・機密データを扱えるセキュアな業務環境を完備 |
|---|---|
| 対応可能業務 | ・画像アノテーション ・動画アノテーション ・3D点群アノテーション ・テキストアノテーション ・音声・会話データの分類 ・データ整理・品質管理支援 など 貴社のアノテーションツール・仕様書・納品形式に合わせて、作業設計から実務対応、品質管理まで柔軟に対応します。 |
| セキュリティ体制 | ●セキュリティルーム完備のBPOセンター(福岡・松本の自社センター) ・二重ドア仕様や専用カードキーによる入室管理 ・作業状況をカメラで録画・記録できる環境を整備 ・端末管理やスマホ持ち込み禁止による情報の持ち出し防止 ●Pマーク&ISMS取得 ●従業員へのセキュリティチェック・研修・テストを定期実施 |
| 料金 | ご要望に応じて個別にお見積りいたします。 |
| 実績 | ・1,000クライアント以上 ・導入企業:旭化成株式会社、三井不動産ビルマネジメント株式会社、イオンリテール株式会社など ・継続率98% ※HELP YOUサービス全体の実績 |
HELP YOUでは、機密情報を含む業務も、セキュリティ対策を徹底した自社センターで安全に対応しています。詳細は以下のページをご覧ください。
A. アノテーションとは、AIに学習させるデータへ意味づけやラベル付けを行い、正解データを作成する作業です。
たとえば、画像内の人物や車を枠で囲む、音声データを文字に起こす、文章を「質問」「要望」「クレーム」などのカテゴリに分類するといった作業が挙げられます。
教師あり学習の際、AIはアノテーションによって作られた正解データをもとに学習します。ラベルに誤りや作業者ごとの判断のばらつきがあると、AIモデルの精度が低下しかねません。
A. アノテーション代行のメリットは、社内の作業負担を減らしながら、一定品質の教師データを効率よく作成できる点です。
具体的には、大量データの処理や短納期での対応、品質管理などをスキルを持つ専門チームに任せられる利点があります。社内で同様の体制を整えると、作業者の確保や教育、進捗管理まで必要となり、開発や分析などの本来の業務を圧迫する可能性があります。
アノテーションを外注することで、社内のリソースを有効活用できるでしょう。
A. アノテーションを外注する際は、目的や課題の共有、サンプルデータの提示、仕様の明確化を事前に行い、業者と認識をすり合わせることが重要です。
具体的には、次の3点を押さえておきましょう。
認識合わせが不十分な場合、追加費用の発生や納期の遅延、品質のばらつきにつながる可能性があります。特に、作業内容や判断基準が曖昧なまま依頼すると、想定より工数が増え、修正や再作業が発生しかねません。
目的や仕様を具体化してから見積もりを依頼することで、こうした追加対応を防ぎやすくなり、費用の適正化にもつながります。
費用は、データ量や難易度、求める精度によって変動します。依頼前に必要な項目や判断基準を明確にし、テスト発注で品質を確認したうえでまとめて発注すると、無駄なコストを抑えやすくなります。
また、自社で対応する範囲と外注する範囲を整理することも、費用を抑えるポイントの一つです。そのうえで、精度・品質、セキュリティ、実績、柔軟な対応力などを基準に委託先を選びましょう。
HELP YOU アノテーションでは、画像・動画・テキストなどへのタグ付けやラベリングを行い、教師データの作成を支援しています。高いセキュリティ環境を備え、外部への持ち出しが難しいデータや指定端末・指定環境での作業もご相談いただけます。
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